それにしてもこの建物って大きいね～！
お部屋がいっぱい！

もう少し行けば窓があるの。
そこからなら外に出られるわ。でも……

そんな心配しなくて大丈夫だって。
アタシ達の力も使ってしっかり部屋に鍵かけたの、
マリーも見たでしょ？　朝まであの２人は出てこられないよ

そうよね。今考えることは、
無事にみんなと外へ出ることよね

まずは窓がある所まで油断せずにいきましょう！
ホノカさん、体調はもう大丈夫ですか？

大丈夫！　鞠莉さんのお菓子のおかげで元気いっぱいだよ！
むしろいつもよりパワーが湧いてくるみたいで――――

待ちなさああああい！！

なっ、ヨシコ……！？

え、ええ～っ！？　なんで？
どうやって出てきたの！？

フッ、見くびられたものね。
あの程度の封印でヨハネを抑えようなど１億年早いわ！

みなさん、下がってください……！

ずっと気になっていたのですが、やはり間違いありません……
この禍々しい気配、背中の黒い翼……魔族です！

あら、あんたはなかなか聡いようね。
私の正体を見破ったのは、エリ以外ではあんたが初めてよ

我こそは完全無欠、最強無敵の堕天使ヨハネ！
天より堕ち、闇にまみれてなお燦然と光る、
神すら慄く世界の主である！

オーマイガー！！　あの羽って本物だったの！？

驚くとこそこ！？

確かに、いつも黒魔術がどうとか堕天がどうとか言ってたけど、
そういう趣味なだけだとばかり……

趣味言うな！　だからず～～～～っっと言ってたでしょ、
ヨハネは本物の堕天使なんだって！
信じるまでに何年かかってるのよ！

世界の主かどうかはともかく、魔族であることは確かです。
しかし、何故鞠莉さんの元に……

もちろん、鞠莉を我が眷属、
リトルデーモンにするためよ

ホワッツ！？　私を？

鞠莉にはヨハネの眷族として充分過ぎるくらい素質があったのよ。
でも、エリに見つかって、めちゃくちゃ怒られて……

そしたらいつの間にか、
一緒に鞠莉のお世話をする契約をさせられていたのよ……
ううっ、あの時のエリ、めちゃくちゃ怖かった……

堕天使をビビらせるエリさんのほうが気になるんだけど。何者？

とにかく！　このままあんた達を逃がしたら、
エリに叱られる上に１ヶ月チョコ食べるの禁止にされちゃう！
絶っっ対に捕まえてやる～～！！

ここは私が引き受けます！
みなさんは先に行ってください！

先に、って……ひとりで残るつもりなの！？

大丈夫、みなさんが逃げる時間を稼ぐだけです。
折を見て私も逃げます

セツナちゃん……！

……分かった。頼んだよ、セッツー！

セツナ、絶対に追いかけてきてね！　絶対よ！

ひとりでこのヨハネの相手をしようだなんて、
聡いという評価は撤回したほうがよさそうね。
あまりに無謀。愚かの極み

どれほど覚悟を決めようと、このヨハネの前では無駄なこと！
哀れでか弱き妖精よ、身の程を知るがいい！

どう評価していただいても結構です。
大切な友のためならば、堕天使だろうと神様だろうと、
必ず阻んでみせる

完全無欠の堕天使様、一歩たりともここから先には通しません！