あ、窓があるよ！　ここからなら外に出られるね。
鞠莉さん、手を出して

手？

私達と手を繋いでいる間は、
鞠莉さんにも妖精の力が流れて空を飛べるようになるんだよ

素敵！　夢みたいだわ

さぁ、行こう！
さっきの堕天使さんみたいな人がほかにもいないとは限らないし、
見つかる前にちゃっちゃと退散したいさん、なーんつって♪

フフフッ♪
光のマジックの時もそうだったけど、
アイの言葉って面白いわね♪

……あ、光の魔法で思い出したんだけど、
もう１人のお世話係の……エリさん、だっけ？
どうしてるのかな？

あー、確かに。鍵は開けられちゃってるはずだもんね。
堕天使もビビる恐～いメイドさんが、
今追いかけてきてるかもしれないわけだ

ノープロブレム。エリならきっと、まだ私の部屋にいるわ

どうして分かるの？

エリはクールでしっかり者だけど、キュートなところもあるのよ。
暗い場所が苦手なの

前に雷で停電になった時は、そりゃもう大騒ぎになってね。
涙うるうるの姿は、本当に可愛かったわ～♪

[Fade in/out.]

ああ、そんなこともあったわね

えっ！？

ええっ？　エリが……浮いてる！？

あら？　１人足りない……なるほど、
その子はヨシコが足止めしてくれているのね。
できれば鞠莉のことを捕まえてほしかったんだけど……

エリ！　どうしてここにいるの？
今はエリの苦手な暗～い夜なのよ！　それなのに……！

突っ込むとこそこ！？

うっ……確かに暗闇は苦手だけど、
これだけ月が明るければ全く問題無いわ。残念だったわね

あ、あなたは……もしかして……！

私が何者か分かったのね。
そう、私は人間じゃない。鞠莉の守護天使よ

エリが……私の守護天使……！？　一体どういうこと！？

鞠莉には小さい頃から色々なモノを惹きつける魅力があったの。
惹きつけられたモノ達は必然的に鞠莉を狙う。
ヨシコも最初はそうだったわ

だから鞠莉を守るために、私が天から遣わされたの

成長するにつれて力は弱くなってきたから、
そろそろ大丈夫かと思っていたけど……
まさか妖精と家出を企てるなんて

い、家出じゃないわよぅ！
月を見に行きたいだけだって何度も言ってるじゃない！

部屋から見ればいいでしょう？
今夜はこの世ならざるモノ達の力が一際強まっている。
そんなところにあなたを放り出すわけにはいかないわ

天使のエリさん、心配無いよ！　アタシらがついてるから！

鞠莉さんのことは私達が全力で守るよ！　安心して！

そうよ！　アイもホノカも、それからセツナもいる。
何が来たって怖くないわ！

さっき、大～～きなトカゲの魔物を見かけたわよ。
もしそれが目の前に現れたら、４人で冷静に対処できる？

…………

そ……それでも、諦められないんだから～～～～っ！！

あっ、こら！　待ちなさい、鞠莉！
もう逃がさないわよ！