栞子ちゃん、そっち持ってもらっていい？

はい。持ち上げますよ、えいっ……

この箱重い。パス

もう、ミアったら。
それにしても、思った以上に荷物が多いわね。
これ、入りきるのかしら

果林ちゃんのお洋服だってこのくらいあるでしょ？
大丈夫、大丈夫

わ、私のことはいいでしょ！

その箱はここに置いて。そっちは窓のとこ……
あ、やっぱりクローゼットの前に置いてちょうだい

ランジュ！　指示するだけでなく体を動かしてください

え？　どうして？

どうして、って……これはあなたの引っ越しなんです。
みなさんは手伝ってくれているんですよ

……んん？

だって、ランジュの引越しはいつもこうだわ。
ランジュは指示を出して、
あとはみんなハウスキーパーがやってくれるもの

…………ハウスキーパーさんはそれがお仕事ですから、
そうなるのでしょうね

しかし、ここにいるみなさんはお友達です

お友達だから、ランジュの大変な作業を手伝っているんです

ランジュは、お友達に大変なことをさせて
自分は楽をするんですか？

そっ、そんなことしないわ！
ランジュ、お友達は大事にするわよ！

みんなは休んでて。あとはランジュがするわ

[Fade in/out.]

わああ！　箱がランジュを襲ってくるわ！

アイヤ！　箱がランジュを転ばせる～！

ランジュちゃん、お願い……手伝わせて！

いいのよ、アナタたちは休んでなさい。
すぐに終わらせてラウンジでおしゃべりしましょ……アイヤーー！

ランジュ。私たちにやらせて。
友達だから手伝いたいの

そ、そうだよ。苦手なことを補い合うのがお友達だよ？

果林……エマ……！

みんな、ありがとう。
ランジュ、寮にきてよかった、って気持ちでいっぱいよ！