薫子さん、ありがとうございました

お世話になりました

いーってば！　私も楽しんじゃったしさ

それより、今日はゆっくり休むこと、いいね！
じゃあまた週明けにね！

[Fade in/out.]

はあ……帰ってきちゃった……

もう少し乗っていたかったな

またお願いしてみようよ。
次は遠征とか

ふふふっ、そうだね

……あなたが元気になってくれて、よかった

あんなあなたを見て……私……

ご、ごめんね、歩夢ちゃん！
もう大丈夫だから！

違うの。何も気づけなくて、
私ってダメだな、って思って……

気づいてあげたかった

その気持ちが本当に嬉しい。
それに、いつもだったら歩夢ちゃんは
私のことなんてお見通しでしょ

だからだよ

あなたのこと、もっとちゃんと見ていたい。
ずっとそばで

歩夢ちゃん……

何の通知だろう、ちょっと見てもいい？
あ、千歌ちゃん、昨日もメッセくれてたんだ……

[Taking out phone.]

今日は本当にありがとう！
ライブも打ち上げもすっごーく楽しかったよ！

それでね、私、楽しすぎて
伝えようと思ってたこと伝えそびれちゃったの。
だからメッセで言うね

ニジガクのPVのこと

PVに出てるみんながパワフルで輝いてたけど、
あのPVで一番輝いてた人はあれを作った人だと思ったんだ

スクールアイドルが大好きだって気持ち、
学園のみんなのことが大好きだって気持ち

みんなの輝きをたくさんの人に伝えたいって
意気込みとこだわり

そういう愛に溢れてて、私はすっごく感動しちゃった！

[Putting phone away.]

……

どうしたの！？　また涙が！
ああっ、泣かないで～！

ご、ごめん！　これは嬉し涙！

え？

見て、これ……

……ちゃんと伝わってるね、あなたの全力が

うん……！

ふふふっ、当然だよね！
あのPVはあなたがいなきゃ
できなかった作品なんだから！

撮影してもらってる私たちも、カメラの向こうの
あなたの想いを感じてるんだからね！

あなたの想いを受け取って、それを返してるの！

私の夢も、パフォーマンスも、私ひとりじゃ完成しない。
あなたの想いがあって完成するんだよ

うん、わかった……
ありがとう、歩夢ちゃん……

ふふふっ。
そんな目で帰ったらおうちの人が心配しちゃう。
もうちょっとだけ、ここでおしゃべりしよっか

うん！

じゃあ、なんの話をしようか……

そうだな～。
あなたの知らない私の失敗談とか！

ええ！？

おもしろい話で笑ってれば、目が赤いのもすぐ治っちゃうよ

歩夢ちゃんってあんまり失敗はしないよね？

それよりは、怖がって私から離れられなかったり……

あ、ほら！
うちと歩夢ちゃんちでアスレチックに
行ったときのこと覚えてる？

歩夢ちゃん、ローラー滑り台が怖い、って泣いてて……

あ、あなただって
水遊び広場で転んでびっしょりになってたもん！

あはは！　そういえばそうだった！　懐かしいな～

ふふふっ。元気な顔になってきたね

歩夢ちゃんは私に元気をくれるからね

歩夢ちゃんのこと、これからもずっと応援させてね！