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Ch. 39 Ep. 9: 寄り添う旋律

演劇部の部長に頼まれた、次の公演のための劇伴作り。初めてのことで手探り状態のあなたは、泊まり込みでの曲作りに誘われて……?

演劇部部長

重ね重ね、お願いばかりで申し訳ないね

あなた

気にしないでください

演劇部部長

家の人は大丈夫だった?

あなた

はい。ちゃんと先生方にも
許可を貰ってのことですし
全然問題ないです

あなた

学園に泊まり込んでの劇伴制作なんて、
なんだかちょっとワクワクしてるくらいです

あなた

それに、やっぱり台本を読ませてもらうだけよりは
話を聞きながら作りたいと思っていたので

しずく

先輩、私たちの曲を作るときも、
私たちの話を聞きながら作ってくれますもんね

あなた

うん。そのやり方に慣れてるから、
実はこっちからお願いしようかと思ってたくらい

演劇部部長

よかった。安心したよ。
ただでさえ無理を言ってるところだから

演劇部部長

台本に書かれていないことはたくさんあるんだ。
それぞれのシーンの狙いや意図を説明させて

あなた

お願いします!

あなた

と、その前に……

あなた

一応、叩き台になるような曲は
作ってきたんで聞いてもらえますか?

[Fade in/out.]

しずく

……いいと思います。
作品のイメージにはピッタリの音です!

演劇部部長

さすがだね。
まさか1発目でここまでクオリティーの高い物が
出てくるとは思わなかった

あなた

でも、部長さんの求めるものには
足りないんですよね……?

あなた

話を聞かせてください。
納得できるものができるまで、
何度でも手直ししますから!

演劇部部長

ありがとう。
じゃあまずは、私としずくの2人で通しで
演じてみるから見てくれる?

演劇部部長

台本を読むのと演技を見るのでは
受ける印象が違うかもしれない。
そこを意識してみてほしい

あなた

わかりました

演劇部部長

しずく、自分以外の台本も頭に入ってるわよね?

しずく

もちろんです!

演劇部部長

じゃあ、幕を上げよう

[Fade in/out.]

あなた

……すごい!
想像してたのと違うところが
たくさんありました!

演劇部部長

ふふっ、そうでしょう?

あなた

劇伴、この辺とこの辺は
全然変えてしまったほうがいいかもしれません

あなた

それと、もっと音を重ねたい……
なにが合うだろう?

あなた

人物の気持ちに合うような音……
しなやかで強い……

[Fade in/out.]

演劇部部長

あの子、すごい集中力だね。
いつもこんな感じ?

しずく

そうですね。
先輩、すっかり自分の世界に入っちゃったみたいです

演劇部部長

このままあの子に任せれば大丈夫な気がするよ。
邪魔にならないよう、少し外に出てようか?

しずく

はい

しずく

先輩……頑張ってください!

[Fade in/out.]

あなた

……うーん。
もっとこう、絡み合うような……

しずく

先輩!

あなた

わっ!? あ、しずくちゃん……

しずく

少し休憩しませんか?

あなた

え?
……ええっ!? もうこんな時間!?

演劇部部長

少し、なにか口にしたほうがいいよ。
ずっと頭を使いっぱなしなんだから

あなた

……そういえば、おなかすいた……

しずく

ごはんありますよ。
さっき部長と買い出しに行ってきたんです。
はい、どうぞ!

あなた

いただきます。
……はあ、おいしい

しずく

おいしいですか?
これ、新商品だから買ってみたんですけど、
お口に合ってよかったです

演劇部部長

デザートもあるからね

あなた

わあ、すごい!

演劇部部長

そうだ。
私、PVのお礼をまだ言ってなかったね

あなた

え? お礼をするのは私たちのほうですよ?

演劇部部長

ううん。私もお礼を言わなきゃ。
だって、あのPVは、私たちのことも変えてくれたから

あなた

え?

演劇部部長

あのPVは感動した。勇気と元気をくれて……
だけど反面、悔しい気持ちもあった

演劇部部長

今まで私たちのしてきた演劇は、
ここまで誰かの心を動かすようなものに
なっていなかったんじゃないかと思ったんだ

しずく

部長……

演劇部部長

どこかで妥協していた部分があったのかもしれない。
これは学生の演劇で部活動で……
その中じゃかなりやれてる方だ、って

演劇部部長

だから改めて自分自身を見つめ直してみたんだ。
私はなにが好きで、やりたいんだろう……

演劇部部長

それでわかったんだ。私はずっと演劇に触れていたい、
この先ずっとお芝居をしていきたい。
それが私の本心

演劇部部長

もちろん簡単なことじゃないと思う

演劇部部長

けど、まずはとことんやって、挑戦してみよう。
そんな気持ちに、君たちはしてくれたんだよ

演劇部部長

だから、ありがとう。
感謝してる

あなた

そんな……
あれは本当に、学園みんなの気持ちが
ひとつになってできたものです

あなた

あんなすてきなPVを作れたのは、
部長さんたちの力が大きいんです!

演劇部部長

旗振り役は君だよ

あなた

私はみんなを振り回しただけで……

しずく

先輩! 私たちは先輩の感性を信じてるんです!
前も言いましたよね?

あなた

う、うん……

しずく

だったら信じてください。先輩も

あなた

……あっ、いま閃いたかも!
劇伴に足りなかったところ! ちょっと待ってて!

演劇部部長

……ふふっ。本当に頼もしい人だね

しずく

はい。部長と同じくらい頼もしい人です!

[Fade in/out.]

あなた

……どうでしょうか?

演劇部部長

……言葉が出ないよ

演劇部部長

最高! 最高の劇伴だよ!
私の求めた以上!

しずく

部長、私、この音楽に合わせて演じたいです

演劇部部長

君、自分が作った曲が私達の芝居と
どう混ざりあうか、見てみて。じゃあいくよ……
幕を上げよう!


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