Ch. 30 Ep. 5: 解けゆくもの
スクールアイドルが大好きな人たちに話を聞いているあなた。美里に聞いた愛の話は知らないことばかりだった。左月・右月から栞子への熱い思いを聞いた帰り、たまたませつ菜に出会って……?
あなた
左月さん、右月さんの話も熱かったな。
あれを聞いたら栞子ちゃん顔真っ赤にしそう……。
早く帰ってメモの整理をしようっと
あなた
ん? あれって……
[Fade in/out.]
あなた
せつ菜ちゃん!
せつ菜
あ、こんにちは。
こんな所で出会うなんて奇遇ですね
あなた
うん、買い物?
せつ菜
ふふ、実はこれから母とデートなんです
あなた
そうなんだ、どこに行くの?
せつ菜
映画です。
今日は仕事が早く終わるというので、
一緒に行こうということになりまして
あなた
そうなんだ。
お母さんとデートなんていいね
せつ菜
はい!
せつ菜
実は……
今日観るのは、私が大好きな戦隊ヒーローの映画なんですよ
あなた
え、それって……
せつ菜
えへへ。
今、両親に私の好きなことの話をしているんです
せつ菜
私が本当は、スクールアイドルが大好きで、
アニメや小説や漫画が大好きで、
お友達もお母さんもお父さんも大好きだ、ってことを
あなた
そうなんだ……
せつ菜
私のライブの動画も見てくれました。
それで、スクールアイドル活動も応援してもらえて……
あなた
すごい! よかったね!
せつ菜
はい!
ふふ、本当はもっと全力で大好きを伝えたいんですが、
両親をびっくりさせないように、まだちょっと我慢です
あなた
あはは。
せつ菜ちゃんの全力はすごいもんね
あなた
でも、よかった。
ご両親とちゃんと話せて……
せつ菜
あなたのおかげです……
あなたが背中を押してくれたからなんです
せつ菜
私、こんなすてきな時間の過ごし方ができるとは
思ってもみませんでした
せつ菜
大好きな母と大好きな映画を観に行けるようになるなんて……
あなた
せつ菜ちゃん……
せつ菜
私は、「優木せつ菜」を守るために、
周りに嘘をついて、親にとってのいい子の仮面をかぶってきました
せつ菜
もちろん、生徒会長だって自分でやると決めたことで、
嫌々だったわけではありません
せつ菜
でも、本当の本当に
それが大好きと言えるかと聞かれたら……
答えられなかったと思います
せつ菜
それに、自分では隠していたつもりでも、
栞子さんには最初から見抜かれていましたから
せつ菜
私、本当は自分が思っていたほど器用じゃないんです。
ひとつのことしかできないんですよ……
せつ菜
だから、限界が来る前に、
ちゃんと自分の大好きと向かい合うことができてよかったです!
あなた
せつ菜ちゃんが、一歩を踏み出したからだよ
せつ菜
ふふ、ですからそれは、あなたのおかげですよ
せつ菜
私、とっても自由な気持ちです。
自分にも両親にも周りにも、
しっかり向き合うことができましたから
せつ菜
今の自分のことが大好きです!
せつ菜
ひとつのことをとことん全力でやり抜く自信があります。
それは誰にも負けません
せつ菜
「大好き」を世界中に溢れさせるスクールアイドルに、
絶対になってみせます!
あなた
せつ菜ちゃんなら絶対になれるよ。応援させて!
せつ菜
それはこちらからお願いしたいです!
そもそも、あなたがいなければ今の私はいないんですから
せつ菜
あなたは私にとっての救世主、英雄、ヒーローです!
あなた
あっ! ヒーローって言えば、映画の時間は大丈夫?
せつ菜
え?
せつ菜
ああっ! 待ち合わせ時間が迫ってました!
せつ菜
す、すみません!
なんだか気分が盛り上がってしまって恥ずかしいことを……
あなた
いや、別にいつものせつ菜ちゃんだったよ?
せつ菜
そ、そうですか……
せつ菜
ふふっ。やっぱりこれが私ですね!
せつ菜
では、また!
あなた
うん、映画楽しんでね!
せつ菜
はい!
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