Ch. 27 Ep. 2: かわいいあの子
実家に戻ってきている薫子との生活に戸惑いを覚える栞子。一方、マイペースな薫子は、教育実習生として生徒たちの前に立つ。そこで行われる薫子ならではの授業とは……?
薫子
はい、座った座った。授業はもう始まってるよー。
まあ、こんな天気のいい日に机に座ってるのも
もったいないよね
薫子
ぶっちゃけ私だって外行きたいな~って思うし。
あ、今の他の先生には内緒ね
薫子
1度そういうスイッチが入っちゃうと元に戻すのって
大変なんだよね~
薫子
よし、こうしよう! 本当なら世界史の時間だけど、
今日は私が適当に話すね
薫子
私が世界中を旅して面白いなーって思ったこととかさ。
これも世界のことだし、いいよね
薫子
じゃあ、これは私が南米に行ったときの話なんだけど……
[Fade in/out.]
薫子
お、ここ空いてるね。相席いい?
あなた
はい。薫子さん、学食でお昼なんですか?
先生だから職員室で食べるのかと思ってました
薫子
ここの学食っておいしそうなんだもーん。
それに職員室って先生達がいっぱいで、
なんか窮屈なのよね
薫子
それはそうとして、さっきの私の授業、大丈夫だった?
みんなとおしゃべりしてたら授業時間が終わっちゃった
あなた
私はおもしろかったです。薫子さんのお話、
世界中を旅してきた実体験を世界史に上手に絡めてて、
なるほど!って思いましたし
あなた
私だけじゃなくて、みんなも夢中で聞いてましたよ
あなた
あ、でも言葉が通じないのにしばらくいたら
そこに馴染んじゃった話は、授業終わった後に
クラスのみんな「薫子先生は謎だ……」って言ってました
薫子
いや~、調子に乗って喋りすぎたかと思ってたけど、
セーフっぽいね。でも、ちょっとお世辞入ってない?
あなた
お世辞じゃないですよ!
あなた
薫子さんはみんなを楽しませる力があると思います
薫子
うわ、やっぱ褒めすぎ。だって私、まだまだだよ。
やりたいことのちょっとしかできてない
薫子
……ねえ、キミに聞きたいことがあるんだけど、
いいかな?
あなた
なんですか?
薫子
栞子のこと
薫子
栞子がスクールアイドルやってるなんて、
私にとってはご褒美みたいなものなんだけど、
あの子にどういう心境の変化があったのか、興味あるのよね
薫子
あの子、スクールアイドルに対しては、
あんまりいい感情持ってなかったからさ……
薫子
でも、久々に会ってみたらしっかり活動してるじゃない
薫子
私、スクールアイドルフェスティバルのときに
あの子にハッパかけたんだけど、
それが理由なわけはないと思うのよ
薫子
私の知らないあの子のこと、詳しく聞かせてくれない?
一体なにがあったの?
あなた
そうですね。栞子ちゃんは……
[Fade in/out.]
薫子
なるほどねえ……。
まあ、あの子が素直になれてよかった。
ありがとね
あなた
お礼なんて!
私は、栞子ちゃんがスクールアイドルに
なってくれてワクワクしてますから!
薫子
ふふっ、キミがいるなら栞子も安心だね
薫子
けど、そっか。
あの子ってば、やっぱりまだまだ子供ね
あなた
栞子ちゃんが子供、ですか?
薫子
そ。頑固で視野が狭くて、昔っから危なっかしいのよあの子。
だから放っておけなくって……
薫子
そういうトコが、かわいくてしょうがないんだけどね
[Fade in/out.]
右月
会長、こちらの書類も確認よろしくお願いします
左月
お願いしまーっす!
栞子
はい。……まだこんなに残っていたのですね。
急いで確認します
右月
あ、これは生徒会のお仕事ではありません
栞子
え? では、この書類の山はなんですか?
左月
会長が優木せつ菜さんに追いつくため、
私たちで考えたパーフェクトプランですよ!
栞子
パ、パーフェクト……プラン……?
左月
このプラン通り進めれば、
会長……いえ、スクールアイドル・三船栞子は、
優木せつ菜さんと肩を並べられる存在になるはずなんです!
栞子
は、はぁ……
左月
そのためにまずは、強烈なイメージ戦略が必要です!
次の曲は、思い切ってヘヴィメタル風の……
右月
待って、左月。会長にはヘヴィメタルのイメージは合いません。
それよりも、もっと人の気持ちを
歌い上げるような路線でしょう
左月
ヘヴィメタルだよ!
右月
ダメ。会長には人の魂を歌い上げてもらいましょう
左月
魂って言うならやっぱりヘヴィメタル!
右月
人の魂を歌い上げるなら、
演歌のようなものもありかもしれませんね……
左月
いやいやヘヴィメタルだから!
栞子
2人とも、落ち着いて下さい。私、両方試してみます。
わざわざ私のために調べてくださり、ありがとうございました
左月
会長……! 私たちに任せてください!
右月
会長がすばらしいスクールアイドルになれるよう、誠心誠意、
サポートを務めさせていただきます!
栞子
ふふ、心強いです。よろしくお願いします
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