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Ch. 20 Ep. 5: 足枷にはなりたくない

ランジュに話し合いを申し込みに行ったあなた。ランジュの作ったというスクールアイドル部の設備のすごさに驚かされっぱなし。すごいのは設備だけではなく、世界中でヒットソングを連発しているミアをも連れてきていた。圧倒的な差を見せつけられ、同好会のみんなのためには、果たしてどちらの環境がいいのか、わからなくなってきたあなたは……?

ランジュ

アナタ、おかしなこと言うのね。苦労は曲のレベルを左右しない。
曲なんて素人が作るより、プロが作った方が良いに
決まってるでしょ?

[Fade in/out.]

あなた

(確かに、プロの曲とは比べものにならないよ……)

あなた

(もしかしたら、本当にあの人のいう通り、
 みんなのレベルアップのためには
 部の環境のほうがいいのかもしれない……)

あなた

(私の今までのやり方は、
 みんなの可能性を狭めていただけなのかもしれない……)

栞子

あの……

あなた

わっ!? な、なんだ、栞子ちゃんか

栞子

す、すみません! 急に声を掛けてしまって!

栞子

でも、あなたの姿をこんなところで見かけたので、心配で……

あなた

え?

[Fade in/out.]

栞子

改めて、おかえりなさい。
あなたが帰ってくるのを心待ちにしていました

あなた

ありがとう。無事に戻りました

栞子

部に、行っていたんですよね? ランジュがどういうことを
あなたに言ったか、想像がつきます。私から謝らせてください。
あの子がひどいことを言って、すみませんでした

あなた

どうして栞子ちゃんが謝るの?

栞子

私とランジュ……実は幼馴染なんです。
部の設立も、同好会の活動禁止も、
止めることができませんでしたから……

あなた

そうだったんだ。
でも、それでも栞子ちゃんが謝ることなんかないからね。
ちゃんと解決してみせるから、栞子ちゃんは心配しないで

栞子

ランジュを知っているから心配なんです……。
昔からあの子、人付き合いが不器用というか……
我の強いところが……

栞子

って、これは私も同じ。
生徒の自主性を無視して、押し付けていました。
似た者同士なのです

あなた

でも、栞子ちゃんは相手のことを思ってそうしてたんでしょ?

栞子

そうですが、相手にしてみれば同じことですよ

栞子

ランジュは……華やかな外見、有り余る才能に、裕福な家庭、
誰しも羨むものをたくさん持っています。だけど、足りないものも
また多いんです。本人は、それに気づいていませんが

栞子

自己中心的で、強引で、人の神経を逆なでする天才なので、
私もこれまでどれほど被害を受けてきたかわかりません

あなた

あはは、苦労したんだね

栞子

ただわかってほしいんです。あの子に悪気は全くありません。
根本にあるのは純粋に、自分がそうしたらみんなが
喜ぶに違いないという思いだけなんです

栞子

とてもそうは受け取れないでしょうが、
ランジュなりの善意なんです。
とはいえ、身勝手が許されるわけではありませんが……

栞子

徹頭徹尾、あの調子ですから、
大抵相手に伝わらず煙たがられるんですけどね。
また、そのことにも気づかないから困ったものです

あなた

ランジュさんのこと、よくわかってるんだね

栞子

似た者同士で、幼馴染ですから。
歩夢さんからあなたがた二人のことを聞いたときは、
同じ幼馴染でもこんなにも違うのだなと思ったものです

あなた

栞子ちゃんみたいな理解のある幼馴染がいるなんて、
ランジュさんは本当はいい子なんだ、って証拠だよ

あなた

栞子ちゃんは誤解してるみたいだけど、
私、失礼なことなんか言われてないよ。
むしろ見えてなかった本当のことを言われた気がする

あなた

反論なんてできなかった。
だってそうかもしれないって思っちゃったから……

栞子

そんな……

あなた

あの環境でみんなが活動したら、きっと今以上に
レベルアップできると思う。そういう場が用意されているのは、
とても恵まれていることだよ

あなた

それに私じゃ、ミアちゃんのような作曲は、100年かけたって
無理。あんなに次々と、すごい曲を作れない。ミアちゃんの
作る曲は誰が歌ってもきっと素敵なパフォーマンスになる

あなた

私は、みんなとたくさんお話して、
気持ちがのった時にしか作れない。
完全にひとつひとつオーダーメイドの作り方しかできない

あなた

作曲担当が私じゃなければ、同好会のみんなの曲、もっと
たくさんできるはずだよ。そしたら、ライブだってもっとできて、
みんなのレベルも上がって、人気だって……

あなた

……私、足枷になっちゃってるのかな?

あなた

同好会のみんながスクールアイドルとして
もっと輝ける可能性があるんだったら、
私はみんなの一番のファンとしてそれを応援したい

あなた

私は、必要ないのかも……

栞子

そんなこと言わないで下さい!
あなたなしでは成し得なかったことが
いくつあると思っているんですか!?

栞子

例えば……覚えていますか?
私、同好会を廃部にしようとしていたんですよ。
大人気ない真似までして……

栞子

そんな私が、今はスクールアイドルです。
これは、もちろん同好会のみなさんが受け入れてくださったから
というのもありますが、一番はあなたが誘ってくれたからです

栞子

……頑固で、頭でっかちな私をここまで変えたのですから、
少しは自信を持ってください……

あなた

あははっ、そんなこともあったね。
栞子ちゃんにそう言ってもらえて嬉しい。ありがとう

栞子

ランジュやミアさんは確かに素晴らしいです。
二人とも祝福を授かって生まれた存在なのでしょうね

栞子

でも、私はあなたの作った同好会が好きですよ

あなた

栞子ちゃん……

栞子

部の活動は素晴らしい才能が集まった、
とてもクオリティーの高いものです。でも、私はあなたと一緒に
活動するみなさんの姿の方がとても魅力的に思えます

栞子

今は私も部の一員として活動していますが、
みなさんが同好会として活動できるように、
できる限りお手伝いしますので、元気を出してください

栞子

そしていつか私も、もう一度……

あなた

ありがとう、栞子ちゃん。
私、みんなと話してみるよ。
みんなのために、一番いい選択をしたいから

[Fade in/out.]

かすみ

むぅぅ~~!
そんな失礼なこと言ったんですか、あのわがまま女は!
先輩のことなんっにも知らないくせにーー!!

あなた

でも、そう言われても仕方ないくらいすごかったんだよ

かすみ

先輩も負けないくらいにすごいんです!
先輩がいなかったらスクールアイドルフェスティバルは
開催できなかったし、先輩の作る曲は世界で一番なんですから!

かすみ

少なくともかすみんにとってはそうなんです!

彼方

彼方ちゃんもあなたの作る曲が大好きだよ~

エマ

わたしもそうだよ。あなたの曲はどれもあったかくて、
想いがつまってて……抱きしめたくなるもの

あなた

ほ、褒めすぎだよ!

歩夢

そんなことない! 足りないくらいだよ!
他の誰がなんと言おうと、
私にとってはたった一人の特別な人なんだから!

しずく

先輩が部長だからこそ頑張れたことが、たくさんあるんですよ!

せつ菜

そして、あなたがいてくれたからこそ、乗り越えられたことも!

璃奈

私たちの気持ち、わかってほしい。
璃奈ちゃんボード「じぃ~っ」

あなた

みんな本当にありがとう。すごく嬉しい。
でも、ランジュさんが言ってることも全部が間違ってるとは
思えないんだ……

あなた

どう思っていてくれたとしても、
みんなの可能性を狭めてるのは私なんだから……

かすみ

そんなこと……

あなた

短期留学をしてたくさんのことを学んだよ。
知らない環境、新しいことに触れて、
自分の中の世界は広がっていくんだな、って思った

あなた

それはとても楽しくて、素敵なことだよ

あなた

だから、果林さんや愛ちゃんみたいに、
一度部で活動した自分のことを想像してみてほしい

かすみ

先輩は同好会を辞めちゃうんですかっ!
かすみんたちのことはどうでもいいんですか!?

あなた

そんなことないよ。みんなのことを大切に思ってるから、
みんなの一番のファンだからこそ、ちゃんと考えてみてほしいんだ

あなた

みんながなりたいスクールアイドルになるために、
今、何が必要なのか、素直な気持ちで考えてほしい

歩夢

……いくら考えても、私は同じだよ。答えはひとつだけなの。
あなたと一緒がいい。あなたが誘ってくれたからはじめたん
だもの。これからも一緒だよ。それが私の素直な気持ち

かすみ

かすみんだってそうです。
かすみんの魅力を一番引き出せるのは先輩なんですから

エマ

わたしも、ここにいたい。
わたしのなりたいスクールアイドルには、
ここでしかなれないと思うの

彼方

彼方ちゃんのわがままをきいてくれるのはあなただけ。
彼方ちゃん、あなたから離れないもんね~

歩夢

私たちと一緒に、いてくれるよね?

あなた

……本当に、私でいいのかな?

歩夢

あなたじゃなきゃ、ダメなの

かすみ

そうですよ!

あなた

……ありがとう

あなた

表立った活動は出来ないかもしれないけど、
できる限りのサポートはするよ。
活動できるように、いろいろ考えてもみる

かすみ

しず子たちは? 同じ気持ちだよね?

しずく

……一晩、考えてもいいでしょうか?

かすみ

ええ!? どういうこと!? しず子は裏切るの!?

しずく

そうじゃない!
でも、先輩がちゃんと考えてほしいって言ってるから、
私は時間をかけて考えてみたいの!

せつ菜

私もしずくさんと同意見です。
ひとりになって、しっかり考えてみたいです

璃奈

……私も

かすみ

しず子もりな子もせつ菜先輩も……残るよねぇ?


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