Ch. 15 Ep. 4: 信頼する、あなたへ
ホームぺージに応募してくれたボランティア希望者が、とうとう栞子と約束した目標人数、1000人に達した!そのことを栞子に伝えると、栞子の反応は拍子抜けするほど冷静で……。
歩夢
もしもし、栞子ちゃん? こんばんは、歩夢です。
今、少し時間いいかな?
栞子
こんばんは、上原さん。
どうしました?
栞子
また、練習メニューのことですか?
私は専門ではないので、的外れなアドバイスになってしまうと
以前も説明したはずですが……
歩夢
あ、ううん、今日はそういうのじゃなくて。もちろん、
練習メニューについて相談したいなって気持ちはまだあるんだけど
……今日は違うんだ。あの……えーっとね……
栞子
……なるほど、あの方のことでなにか相談があるんですね
歩夢
え? どうしてわかったの!?
栞子
上原さん……あなたは少々無自覚なところがありますね……。
スクールアイドル以外の話題と言えば、
いつもあの方のことばかり聞いている気がしますよ、私は
歩夢
……私って、そんなにあの子のこと話してる?
栞子
ええ、本当に仲のいい幼馴染なのですね
歩夢
あはは……恥ずかしいな
栞子
それでなんの相談ですか?
遊びに誘うなら、回りくどいことをするよりも
ストレートに誘うほうがいいと思いますよ
歩夢
ち、違うよ!
栞子
冗談ですよ。からかいがいがありますね
歩夢
え? 栞子ちゃんでも冗談言うんだ
栞子
私だって冗談くらい言います。ですが、からかいすぎましたね。
ごめんなさい。本題をどうぞ?
歩夢
えっとね……、あの子、学校説明会のときも、ボランティア募集のときも、誰よりも頑張ってくれたでしょ? ううん、
今回だけじゃなくていつも頑張ってくれてるんだけど……
栞子
そうですね。学校説明会ではかなり助けられました
歩夢
だから、日頃の感謝の気持ちを込めて、
何か贈り物をしたいなって思ったの
栞子
いいんじゃないですか、きっと喜んでくれますよ
歩夢
それで、何にしようか考えてみたんだけど、考えがまとまら
なくて……。だから、栞子ちゃんにも一緒に考えてほしいんだ。
栞子ちゃんも一緒なら、きっとあの子も喜んでくれると思うの
栞子
上原さんが選ぶものなら、
なんでも喜んでくれると思うのですが……いいでしょう。
私もお世話になりましたし、手伝わせてください
歩夢
やった! じゃあ、今度のお休みに一緒に買い物に行かない?
もちろん栞子ちゃんがいつもやってる
ボランティア活動がなければだけど
栞子
土曜なら空いています。その日でよろしいですか?
歩夢
うん! ありがとう、栞子ちゃん!
栞子
こちらこそ。あの方にお礼をする機会を作っていただけて、
私のほうこそ感謝します。では、土曜に
歩夢
楽しみにしてるね!
[Fade in/out.]
歩夢
お待たせ! ちょっと待たせちゃったかな?
栞子
いえ、そんなことはありません。まだ待ち合わせ時間の前です
歩夢
でも、栞子ちゃんはもういるじゃない?
栞子
……誰かとお出かけというのは……、
その、あまり経験がないので……お待たせしてはいけないと急いだ
結果、思いの外早く着いてしまっただけです。お気遣いなく
歩夢
ええ〜!? 早く着いたなら連絡して!
私急ぐし! 次は絶対、連絡してね!
栞子
つ、次……ですか。……はい、わかりました
歩夢
よろしい! ってことで、改めて。
今日は付き合ってくれてありがとうね
栞子
お礼はいいですよ。あの方に感謝しているのは私も同じです
歩夢
あのね、電話の後も何を選んだらいいかなって
考えてはみたんだけど、どうしても思いつかなくって……
栞子
とりあえず、お店を見てまわりましょう。
見ながら考えればピンとくるものがあるはずです
歩夢
う、うん、そうだよね!
栞子
さあ、行きましょう
[Fade in/out.]
歩夢
あ、あのペアチャームすごく可愛い!
でも、栞子ちゃんに付き合ってもらってるのに、
ペアじゃ私個人の贈り物になっちゃうよね……
歩夢
似顔絵のコーナーとかもあるんだ……
ねえ、似顔絵とかはどうかな?
栞子
似顔絵……ですか……
歩夢
ペンダントもかわいいなあ〜……。
栞子ちゃん、このペンダントはどう思う?
あー、でもいつも身につけてもらいたいしな……
栞子
不必要な装飾品の着用は、校則違反になりますので難しいですね
歩夢
だよね……没収とかされたら悲しいし、ダメか……。
ん~、悩んじゃって決められないよ~
栞子
……ふふ
歩夢
わ、笑わないでよ〜
栞子
すみません、つい、微笑ましくて。
上原さんは、本当にあの方のことがお好きなんですね
歩夢
大好きだよ。小さい時からずっと一緒だし……。
それに、スクールアイドルを続けられる一番のモチベーションは
あの子なんだもの
栞子
一番のモチベーション?
歩夢
うん。あの子はね、
スクールアイドル同好会のことを何よりも
一番に考えてくれてて――
歩夢
私たちのことをすっごく大切にしてくれて、
どんな時でも応援してくれるって、
部長になったときに約束してくれたの
歩夢
だから絶対その想いに応えたい、期待を裏切りたくない、
そう思うとどんなきつい練習も頑張れるんだ
栞子
お二人は、深い絆で結ばれているんですね
歩夢
えへへ……ところで栞子ちゃんだったら、
どんなプレゼントがいいと思う?
栞子
そうですね……御礼の品といったら、やはり高級のりの
詰め合わせやタオルセットではないでしょうか?
タオルなら無駄にはならないですし
歩夢
ふふ、それってお中元やお歳暮みたい
栞子
い、言われてみれば……。
では、健康を気遣うということで、
野菜ジュースの詰め合わせはどうでしょう?
歩夢
あははっ、それも同じだよ〜。
でも、ジュースがお中元でくるとすっごく嬉しいよね
歩夢
ただ、ジュースは重くて持っていくのが大変かも……
栞子
プレゼント選びというのは、こんなに難しいものなのですね……
栞子
あ……閃きました!
愛用の品というのはどうでしょうか!?
歩夢
愛用……
あ! 練習ノート!
栞子
それですよ!
たしか、部活の間、肌身離さず持ち歩いていましたよね?
歩夢
あのノート、私たちの練習内容とかを
細かく書いてくれてるものなの。
そろそろ埋まっちゃいそうって言ってたし、新しいのを……
歩夢
だけど、ノートじゃ安すぎるかな?
栞子
こういうのは、値段ではないと思いますよ。
ですが、上原さんがそう思うのも、わからなくはありません
栞子
ですから、1ページ目に、
同好会のメンバー全員でメッセージを書いてみたらどうですか?
歩夢
それいい! すごくいいアイディアだよ!
うん、それにしよう!
[Fade in/out.]
歩夢
今日はありがとう、栞子ちゃん!
栞子
お役に立てたようでなによりです
歩夢
栞子ちゃんのお陰で、
すっごくいいプレゼントが渡せそうだよ♪
付き合ってもらってよかった
歩夢
あとは、スクールアイドルフェスティバルに集中するだけ!
歩夢
ボランティアの問題も解決したし、栞子ちゃんも
協力してくれるし、あとは私たちが頑張らなきゃ。
絶対に成功させるから、栞子ちゃんにも楽しんでほしいな
栞子
……そうですね。成功を、祈っていますよ……
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