綺麗な満月ですね。
晴れて本当によかったです

そうだね、
こうやってゆっくり月を見るの久しぶりだなあ

私、月見だんごを作ってきたんです。
よかったら一緒に食べませんか？

ありがとう、いただきます
……おいしい！

お口にあってよかったです。
飲み物もどうぞ

じゃあ、栞子ちゃんの飲む分は私が注ぐね。
はい、どうぞ

ありがとうございます

……ごくっ、ごくっ。
ふう、あたたまりますね

あっ、栞子ちゃんのコップの中に満月が映ってる！

わあ、本当です。
お茶の上に浮かぶ満月というのも美しいですね

揺れて輝いていて、とても綺麗です

（月も綺麗だけど、
　月明りに照らされる栞子ちゃんも
　すっごく綺麗だなあ）

（なんか、かぐや姫みたい）

（そう思うと、綺麗だけど儚いっていうか、
　このまま月明りの中に消えていっちゃいそうな
　気がしてきたかも）

あの、どうかしました？

あっ、ごめんね！　別になんでもないよ！

私でよければなんでも話してください。
あなたが不安そうな顔をしていると、心配です

え、えっと、栞子ちゃんがかぐや姫みたいだなーって

かぐや姫、ですか？

うん。月明りに照らされた栞子ちゃんが綺麗で、儚くて……
つい、かぐや姫みたいにどこかへ行っちゃいそうって
思っちゃったんだ

ふふっ、そんなことを考えていたんですか？

安心してください。
何があっても私はずっとあなたの傍にいますから

本当？

はい。ですから、あなたも
私の傍から離れないでくださいね？

もちろんだよ！　絶対に栞子ちゃんの傍にいる！

では、約束ですよ。
次のお月見もここで一緒に月を眺めましょうね