はい、おまちどうさま！

わあ、すごい！
このおせち、ホントに食べてもいいの？
まったく試作品に見えない！

ええ、食べなさい。
にこにーがあなたのために作ったんだから

え、試作品じゃないの？

ち、違わないわ！　これは試作品なの！
いいから食べて感想を聞かせなさい！

うん。
じゃあまずは黒豆から。いただきます

美味しい！　優しい甘さだね。
それに見た目もふっくらツヤツヤですごく綺麗

なかなかいいところに目をつけるじゃない。
黒豆は煮るときに砂糖を一気に入れたり、
火加減が強すぎるとすぐ表面がシワシワになっちゃうのよ

そうなんだ。難しいんだね

ま、にこくらいの料理スキルがあれば
そんなに難しくないわ

ほら、ありがたく食べなさい！
おせちの具はまだまだいっぱいあるんだから！

うん！
じゃあ、遠慮なくいただきます！

[Fade in/out.]

どれもすっごく美味しかった～！
にこさんってホントにお料理上手だね！

ふふーん！
にこにかかれば、このくらい朝飯前よ

しかも、定番のやつだけじゃなくて
お肉料理も入ってるなんてさすがだよ

お肉を入れることでボリュームもでるから、
おせちだけで満足できるでしょ？

うん！

そう言ってもらえると、嬉しいな

ところで、おせち料理にはひとつひとつ意味があるのよ。
知ってる？

なんとなく聞いたことはあるけど、
詳しくは知らないかな

じゃあにこが教えてあげる！
ほら、隣に座んなさい！

わっ！　にこさん、近いよ！
は、恥ずかしいからもうちょっと距離を……

いいえ、だめよ。
にこがどんな気持ちでこのおせちを作ったのか
ちゃんと理解してもらわなきゃ

あなたへの気持ちを込めて作ったんだから……
わかりなさいよね

私のため……？

そうだってば！
もう、試作品なんて口実！
あなたに食べてほしかったの！