Hanamaru #154: 美味しさの魔力
花丸
はむ、はむ、はむ……
んふふ、ほんとに美味しいずら、このかき氷……♡
海未
……
花丸
氷はふわふわでわたあめみたいに優しいくちどけ、
果物はみずみずしくて噛めば噛むほど甘酸っぱい
果汁が口いっぱいに溢れる……
海未
ううっ……さすが花丸、見事な表現力です。
見ているだけなのに口の中で味が再現されて、
私は……私は……!
花丸
う、海未さん……! ごめんね。
海未さんのほうが1位になれたかもしれないのに、
びりっけつだったマルが食べることになっちゃって……
海未
花丸……。いいえ、私のほうこそすみません。過程はどうあれ、
あなたが1位を獲得したことは紛れもない事実です。
あなたには食べる資格がある
海未
だから、どうか私のことは気にしないでください。
私は今回は食べられませんが、その分目で楽しませてもらいます!
花丸
海未さん……! 分かったずら。
海未さんの分まで責任を持って食べ切るずら!
花丸
もぐもぐもぐもぐもぐ……んぐ、
頭がキーンってする……! でも美味しい……えへへ
海未
……ああ~! やっぱりだめです!
どうしても未練が断ち切れない!
こういう弱さがあるから私は――――
花丸
えい!
海未
むぐっ!? もぐ、もぐ……
花丸
美味しい?
海未
……美味しい……美味しいです!
たったスプーンひとすくいなのに、こんなに幸せな気持ちに
なるなんて! これが限定10食の超豪華かき氷……
花丸
良かったぁ♪
やっぱり、美味しいものは独り占めするものじゃないずら
海未
花丸……! ありがとうございます。
敗者の私に貴重なひとくちを分けてくださるなんて、
花丸はなんて優しいのでしょう……!
花丸
そんなことないずら。マルはただ、海未さんと
この美味しさを分かち合いたいと思っただけだよ
花丸
もぐもぐ……んん♪ 海未さんの笑顔で
美味しいかき氷がますます美味しくなったずら~♪
はむはむはむはむはむ……
海未
は、花丸……私にも、自分の笑顔の効果を
確認させていただきたいのですが……
花丸
ごちそうさまずら
海未
えっ、食べ終えてしまったのですか!? そんな……
美味しいものは独り占めするものではないと
今言っていたではありませんか! 花丸~っ!
花丸
美味しい食べ物は時に人を狂わせる……
それもまた真理ずら♪
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