[On the phone.]

あはは、そんなことがあったんだね

うん、そのときは本当に焦って……
あっ、やば！　もうこんな時間だ！

電話してるとあっという間だね。
明日遊びに行くし、そろそろ眠ろっか

そうだね。
じゃあ、せーので電話切ろう

うん。
せーの……

…………

ふふっ、
もう、早く切ってよー

歩夢ちゃんこそ切ってよー

……ぷっ、あはは！

ねえ、もうこのまま寝落ちしちゃうまで電話しない？

そうだね、そうしよう

ふふっ、このまま喋ってたら、
夢の中でもあなたとお喋りできちゃいそう

ねえ、憶えてる？
小学校５年生のときに、
私があなたのおうちにお泊まりしたときのこと

歩夢ちゃんが寝ぼけて
私の布団に入ってきたときのことかな？

そうそう

実はね、あれ、寝ぼけてなかったんだ。
ホントはね、ひとりで眠るのが心細くて、
わざとあなたの布団に入ったんだ

うん、知ってる

えっ、知ってたの！？

ふふふ、ずっと一緒にいるんだもん、
それくらい分かるよ

そんな……。
うぅ、なんか、すっごく恥ずかしい……

そう？
あのときの歩夢ちゃん、すっごくかわいかったから、
また入ってきてくれてもいいよ？

もう、からかわないでよお

ふふっ、でも、あなたが憶えていてくれて、
すっごく嬉しい

こうやって電話で話すのもいいけど、
やっぱり直接お喋りしたいな

だから、今度また、
あなたのおうちにお泊まりに行ってもいい？