失礼します。今後の生徒会長選挙の行動予定を
持ってき……たのだけど誰もいないわね。
じゃあ置いていかせて――……これは？

（中川さんの公約だわ。
　こんなひと目につくような場所に置くなんて……）

（ん？）

『生徒たちの大好きを実現する場所作りをすすめるため、
　学園限定のソーシャルアプリを導入』

『アプリ経由での投書で生徒会内での情報共有の迅速化を図る。
　投書は勉強・部活動・生活全般・校内施設など複数に分け、
　回覧スピードもあげる』

『生徒の自主性を伸ばすことを第一に、自ら考え、
　選んでいける支援を行う』

……そう。公開討論会の時の言葉はただ思いつきというわけでは
なかったのね。簡単な戦いだと思っていたけれど、
どうやら認識を改める必要がありそう

でも、やはり根底が間違っているわ。
この公約で実現される恩恵は、この学園の生徒であるあなた自身にも
与えられるものでなくてはならないのよ……

[Fade in/out.]

ええええ～～～！　
せつ菜ちゃんが、同好会を辞めたー！？

なんでそんなことになっちゃったの？　
公開討論会の結果がそんなに悪かったとか？

確かに公開討論会は三船さんが有利で終わっちゃったんだけど、
でも……それだけが理由じゃない気がするんだ

絵里ち。確か、せつ菜ちゃんから何度もメールや電話を
もらってるって言ってたよね？

ええ、私とダイヤにね。
生徒会長としての意見がほしいって言われてたの

それなら、二人に聞こっか。
話してるときにいつもと様子が違うなーとか、なかった？　

……そうですわね。公開討論会のあとわたくしたち心配で
メッセージを送りましたの。でもそのときは、
とくにおかしなところはありませんでしたわよね？

ええ、そうね。相手に優勢に立たれているっていうようなことは
言ってたけど、悲観しているというよりは巻き返そうって
決意のほうが強かったしね

私たちも、詳しく聞こうとしたんだけど……

ああ、もう！　ここでグダグダしてても、
何にも解決しないんだから！　
鬼電よ、鬼電！！

～～～～～ちょっとぉ！　
なんで出ないのよ！

オッケー！　
次はマリーがかけてみるわよ！

…………でない…………。
ホワーイ、せっちゃん！？

……私のほうも出ないわね

ことりも駄目みたい……

私も……

なんでだろう。
一人でできることって、あんまりないずら

そうだよね。一人じゃ、心細いし……

ちょっと、ルビィもずら丸も泣きそうになってんじゃないわよ！　電話が駄目なら……

そう！　堕天使のテレパシー能力を使って……！

お手紙とかはどうかな？

聞いてよ！

はいはい、テレパシーはまた次の機会にね。
手紙っていうアイディアはいいね！　
よーし、みんなでやろっか！

手紙なら、読んでもらえるかしら？

メールよりは、
手書きの文字のほうが私たちの気持ちもわかってくれるかも

そうにゃ！　それでせつ菜さんを呼びもどすにゃ！

話をしに行きたくても、せっつー最近はずっと生徒会室に
籠城してて打つ手がなかったんだよね

廊下とかで会っても、せつ菜さん目も合わせず足早に
行ってしまって……。私たちが声をかけることで
傷つけちゃうのかもって、話しかけるのをやめていたんです

そうですか。それはつらかったでしょう。
でも諦めないで、私たちにとってせつ菜が大切であることを
伝えないと……！

大切って、伝えたい

璃奈ちゃん、一緒にお手紙、書こっ

こうなったら、
す～～～っごい長文のお手紙を書いちゃいますよ～！

……穂乃果ちゃん、千歌ちゃん、
悪いけどあとは任せてもいいかな？

うん。せつ菜ちゃんのところに行くんでしょ？　
あなたはそう言うかなって思ってたんだ。大丈夫だよ！　
任せて！

スクールアイドルフェスティバルの作業はすすめておくから
心配いらないよ！　それと、せつ菜ちゃんへのお手紙もね！

……本当にありがとう！　
じゃあ、行ってくる！

[Fade in/out.]

やっと会えたね、せつ菜ちゃん

え？　なぜここに？

最近ずっと避けられてるし、生徒会室に行っても
会ってもらえないし、ここなら生徒全員通るから、
いつか会えるかなと思って待ち伏せしちゃった

ちゃんと話をしようよ。
さっきまでμ'ｓとAqoursのみんなと会ってたんだ。
みんなすごく心配してたよ

たくさん電話をいただいたので……わかっています

私たちみんな、せつ菜ちゃんにはスクールアイドルを
やめてほしくないって思ってる

でも、生徒会長選を頑張らなきゃいけない
気持ちもわかるから、それなら両方頑張ろうって……

それが問題なんです！　
……みなさんは、惜しみなく私に協力してくれます。
だからこそ、私は同好会をやめなければと思ったんです

どういうこと？

いまは、スクールアイドルフェスティバルの開催に向けて、
全員が一丸となって動かなくてはいけないときです。
そんなときに余計なことはさせられません

余計なことなんかじゃないよ！

でも、集まりの連絡が遅れたり、
ミニライブの曲を伝え忘れたりということがありましたよね？　
それは私を手伝っていたからです

それは……ちょっとうっかりしちゃっただけで、
これからは気をつけるよ！

今回は、うっかりで済むミスだったかもしれませんが、
次はなにが起こるかわかりません。
なにか起こってからでは遅いんですよ

せつ菜ちゃん……

でも、だからってせつ菜ちゃんが犠牲になることなんてないよ。
みんなと一緒に頑張れば、選挙にだって勝てるし……

中途半端なままでは、手に入らないものもあるんです

三船さんに勝つのは、簡単なことではありません。
同じように、スクールアイドルフェスティバルの復活も、
簡単ではありませんよ

だから、あなたはスクールアイドルフェスティバルの実現だけに
集中してください。中途半端ではなく、一筋に

スクールアイドルフェスティバルは、
せつ菜ちゃんも一緒じゃないと意味がないよ！　
せつ菜ちゃんがいないんじゃ……それじゃあ……

じゃあ、諦めるんですか？　
あなたのスクールアイドル愛はそんなものなんですか？

諦めるわけないよ！

だったら、私のやり方を認めてください。
私は絶対に生徒会長の座を守ります。
そして同好会を守りたいんです

これが私なりのスクールアイドルフェスティバル実現への道です！

じゃあ、せつ菜ちゃんのスクールアイドルが
大好きって気持ちはどうなるの！？

……っ、話はこれで終わりです。
もう遅いですから、あなたも早く帰って休んでくださいね