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Ch. 7 Ep. 6: せつ菜の秘密

原宿に行ったことを羨ましがったかすみ・歩夢・エマとのお泊まり会。一緒にごはんを食べて、パジャマパーティ。エマの思い出の動画を見たり、歩夢との昔話をかすみが羨ましがったりと、のんびりした時間を過ごしたのだった。

あなた

さて、何しようか?

果林

いい機会だから、私、せつ菜の秘密を探りたいわ

せつ菜

えっ、私の秘密ですか!? 私の秘密については、
みなさんよくご存知では……?

果林

あなたの正体が生徒会長であることはどうでもいいのよ。
あなたはあなただしね

果林

そういうことじゃなくて、
スクールアイドル・優木せつ菜としての秘密を知りたいの

せつ菜

ええ? そんなことを言われても、別に秘密なんかないですよ!

果林

あなたが普段どんなことをしているのかが知りたいのよね。
そこになにか秘密が隠されてるんじゃないかしら?

せつ菜

普段……

しずく

せつ菜さんの秘密……私も気になります!

しずく

せつ菜さんの
スクールアイドルとしての表現力は生まれついてのものなのか、
なにか特別な訓練によるものなのか……

果林

そう! しずくちゃんも気になるでしょう? 

しずく

気になります!

せつ菜

えええ……。ど、どうしましょう……?

あなた

せつ菜ちゃんが普段どんなことをしているか、
この二人には見せちゃえば?

せつ菜

それはちょっと……どうでしょう?

あなた

2人は気になるみたいだし、ちゃんと説明したら話し相手が
できるかもよ?

せつ菜

話し相手……そうですね。ダメだったら途中で
やめればいいですし

せつ菜

私の秘密、お教えします!

[Fade in/out.]

しずく

……なぜ、私たち、先輩のお部屋に来てるんでしょう?

あなた

はい。せつ菜ちゃん、録画しておいたDVD

せつ菜

ありがとうございます

せつ菜

えー、こほん。果林さん、しずくさん、これからお二人に、
私の一番大好きなDVDをお見せします。私がこの作品に
ハマったのは2年前……まだ寒いある日のことでした

果林

すでに暴走してるわね。せつ菜、話が長いわ。
いいからはやくDVDを見せて

果林

これにあなたのパフォーマンスの秘密があるんでしょう?

せつ菜

あっ、すみません。暴走しちゃっていましたね

せつ菜

そうです。
この作品から、私は勇気や希望を貰っているんです!

しずく

ごくり……少しも見落とさないようにします!

せつ菜

そうです、しずくさん! 
1カットも見落とさずに見てくださいね!

あなた

じゃあ、再生するよ〜

[Fade in/out.]

せつ菜

あ……ああっ、まさかそんな……

しずく・果林

……

せつ菜

わかってます。わかってますよ、その理屈は。
正しいことを言ってます

せつ菜

私だってあなたの立場ならそう言うはずです。
でも、彼らにはそうしなければいけない理由があるんです。
理屈じゃないんです

せつ菜

ああ……ここのシーンはいつ見ても胸が痛くなります。
お互いがお互いを思っているのに噛み合わないジレンマ

せつ菜

もっと会話が必要なのに、相手を目のまえにすると、
どうしても怖くなって言いたいことが言えないんです!

果林

せつ菜、あなたの大好きなDVDって、このアニメ……?

しずく

たしかこれってライトノベルが原作のやつですよね。
アニメになってたんですね

果林

せつ菜の秘密を暴けるかと思ってたのに……アニメ……

せつ菜

果林さん! しずくさん! 
ただのアニメだと思わないでください!!

せつ菜

私はこの作品から勇気とがんばる気持ちを貰っているんです! 
だってほら、見てください! ここ、このシーン!

せつ菜

ここまでのことを言われているのに黙ってついて行く……
普通ならこんなことを言われたらさよならですよね

せつ菜

でも、普段のこの人ならこんな理不尽を押し通すことはない、
きっとなにか事情があるんだって信じているから黙ってサポートに回ろうとするんです

せつ菜

そこまでの信頼関係を築くのって、
並大抵のことではないと思います

せつ菜

ここに描かれていないたくさんの物語があるんだろうな
ということが、このシーンから推察できるんですよ!

しずく

たしかに……

果林

でもちょっと前、
この主人公のせいでパーティが崩壊しちゃったじゃない

果林

今残ってるメンバーだけじゃボス戦にも行けないんじゃない?

せつ菜

見ててください……ほら! 来ました!

せつ菜

いくら喧嘩別れをしても、
それ以上の絆があったら見捨てられないんですよ〜!

しずく

すごく……ご都合展開に見えますけど……

せつ菜

でも、こうなったらいいのに! と思ったところで、
その通りに進むのは気持ちがいいものじゃないですか?

果林

確かに……どうせそうなるんでしょって
思ってても爽快感があるわよね

せつ菜

お約束っていうのは、
ストレスなく楽しめるっていうことでもあるので、
私はすごく好きなんです

せつ菜

さあ、このままラストまで駆け抜けますよ〜!!

[Fade in/out.]

果林

ぐす……くすん、ものすごく面白かったわ……

しずく

うう、果林さん、私にもティッシュください……ぐす、
せつ菜さん、アニメだって侮ってました。
ごめんなさい、最高です

果林

それにしても、あの主人公の無理を押し通すわがままの理由が
現実世界での怪我だったなんて……

果林

現実では叶えられない夢を
仮想世界で叶えたかったなんて言われたら憎めないわ

しずく

ずっと主人公の回復を助けていた仲間が現実世界では
マネージャーだったなんて……

しずく

現実世界では彼の怪我をどうすることもできないけど、
ゲームの中の世界でなら助けになれると思ったから、
セツナちゃんはユウキくんの側に居続けたんですね……ぐすっ

せつ菜

かけ……駆け抜けてしまいました……5時間全13話……

せつ菜

わ、私、自分が大好きなものを布教できると思ったら
また暴走して……っ! みなさん! すみませんでした!!

果林

いいのよ、せつ菜。むしろありがとう

果林

彼らのストーリーは
今の私たちにも置き換えられるところがあると思うわ。
それに、あなたの解説がおもしろかったしね

しずく

そうですね。せつ菜さんの熱い解説は説得力がありましたよ。
だんだん私たちものめり込んじゃいました

あなた

せつ菜ちゃんて、自分の大好きなものを
相手に伝える力があるんだよね

果林

そうね。せつ菜の言葉や身振り手振りって、
なぜか引き込まれるものがあるわ

果林

でも結局、それは技術じゃなくて、せつ菜自身が
いかにそれを大好きに思っているかってことが秘訣なのね

しずく

人を共感させる能力ですね。勉強になりました

しずく

私も、こんな風に見てくれる人たちに訴えかけていけたらいいなあ

せつ菜

お、怒ってないんですか?

果林・しずく

ぜーんぜん!

あなた

よかったね、せつ菜ちゃん。
これからはみんなでアニメの話で盛り上がれるね

せつ菜

は、はい、嬉しいです

せつ菜

あ、みなさん、
このアニメの原作小説が生徒会室に隠してあるので、
よかったら貸しますよ!

果林

あなた生徒会室にそんなもの置いてるの!?

せつ菜

わ、悪いことだとはわかってるんですが……、
うち、家がアニメとか漫画とかそういうものが
禁止で置いておけないんですよ

せつ菜

今日見たアニメも、ずっと録画をお願いしていたもので……

しずく

なるほど、だから先輩の部屋での上映会だったんですね

せつ菜

はい、そうなんです

果林

そっか。せつ菜も結構苦労してるのね

果林

でも、大好きなものを守りたい気持ち、今ならわかるわ! 
なにかあったらうちでも預かるから言ってよね

しずく

うちでも預かりますよ! 
録画とかも大丈夫ですから、言ってくださいね!

せつ菜

果林さん、しずくさん……! 
ありがとうございます!!


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