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Ch. 25 Ep. 6: 彼方、出動!

エマのスクールアイドルに対する熱意、果林に対する思いを知った彼方。エマと果林のために、ひと肌脱ぐことを決意した。その彼方がとった方法とは……?

果林

あの子と出かけて、少し気分が上向きになった

果林

だけど、なにも解決してない。
私らしいパフォーマンス、それに……エマのこと

果林

あら、何かしら……

果林

……え? ええ!?

[Fade in/out.]

彼方

果林ちゃ~ん、彼方ちゃんはここだよ~

果林

ハアッ、ハアッ、ハアッ……

彼方

そんなに急がなくても良かったのに

果林

だって、大事件だって……言うから……

彼方

大事件には違いない。
だって、今日は遥ちゃんのライブだも~ん

果林

ええ!?

彼方

その顔は……な~んだそんなこと
……って思ってますな?

果林

せっかくだけど、私、遊んでいられないのよ……。
考えなきゃいけないことがあるから

彼方

いいからいいから、彼方ちゃんを信じて。
駆けつける価値のある、大事件で一大事には違いないから。
ほら、行くよー!

[Fade in/out.]

彼方

果林ちゃん果林ちゃん、一番乗りだよ。最前列確保成功!
一番前取れるか心配だったんだよ~

彼方

はい、果林ちゃん

果林

ペンライト?

彼方

うん、遥ちゃんの応援に必要だからね

果林

彼方、張り切ってるわね

彼方

果林ちゃんだってすぐ夢中になるから!
彼方ちゃんが保証する! あ~、はやく始まらないかな~

みんな、今日は来てくれてありがとう!
とってもとってもと~っても嬉しいです!

今日は心をこめて精一杯歌います。
みんなに私たちのハートを届けます!
最後まで楽しんでいって下さいね!

彼方

きゃー、遥ちゃん!
遥ちゃーーーーーーーんっ!!

彼方

ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ!
遥ちゃん宇宙一可愛い~!

彼方

ほら、果林ちゃんも声出して!
彼方ちゃんたちが全力で応援するから
スクールアイドルも輝けるんだよ!

果林

そ、そうね

彼方

ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ! はい!

果林

ら、ラブリー・ハルカ! ラブリー・ハルカ!

彼方

きゃーーー、遥ちゃんと目が合ったぁぁぁぁ!

[Fade in/out.]

彼方

はあああ……燃え尽きた……
心地よい疲労感と満足感……たまらんぜ……

果林

普段からは想像も出来ないテンションの高さね。
彼方ってあんなに大きな声も出せたんだ

彼方

それは彼方ちゃんだけじゃないよ?
周りのお客さんだって果林ちゃんだって
大声出してたじゃん

彼方

すごいよね、たぶんここにいるの50人くらいだよ。
それであんな大声援って……ふふっ

果林

……そうね。ステージからの熱気で全身が痺れるように汗ばんで
……いつの間にか遥ちゃんたちのことしか見えなくなってた……

彼方

遥ちゃん楽しそうでパフォーマンスもどんどん良くなってさ~、
ああ~彼方ちゃんたちの声が届いてるんだな~って感動した~

果林

ええ……。私も感じた。
遥ちゃんがすぐ目の前にいるような存在感……
ここにいるみんなとの一体感……

彼方

果林ちゃん、お客さんとしてライブ見るの初めて?

果林

……そうね。こんな風に見るのは初めてかもしれないわ

彼方

それ絶対損してる!
こうやってスクールアイドルを楽しむのだってありだよ~
楽しいもん!

果林

彼方の言うとおり。すっごく楽しかった。
こんなに楽しいものだなんて知らなかった……

果林

……

果林

私も、こんなライブができてるのかしら……
私のライブを見に来てくれている人たちは
こんな気持ちになれてる……?

お姉ちゃーん!!

彼方

遥ちゃん! お疲れ様~!!
すっごくすっごく良かったよ~!

えへへ。見に来てくれてありがとう。
果林さんもありがとうございました!

果林

こちらこそ、最高のライブをありがとう。
楽しくてあっという間だったわ。
遥ちゃんのファンになっちゃった

え、ええ!? わあ……ありがとうございます!
すごくうれしいです! 力になります!
私こそ果林さんのファンです!

彼方

ちょっとちょっと、果林ちゃんてば、
うちの遥ちゃんのこと虜にしないで~

お、お姉ちゃん、恥ずかしいよ!

彼方

恥ずかしくない! そこだけは譲れません!

も~……。
じゃあ私、着替えがあるからもう行くね

[Fade in/out.]

彼方

果林ちゃん、なんだか難しい顔になってる。
どうしたの?

果林

……ちょっと、遥ちゃんたちのライブを見て、
気付いたことがあって……

彼方

彼方ちゃんに話してみてよ

果林

私、エマと喧嘩しちゃったの。
エマに図星を指されて感情的になっちゃって……

果林

でも、私は間違ってない、選んだ道は正しいって思ってた

果林

だけど、やっぱりエマが正しいのかも。
私、応援してくれる人たちのこと、
見えてなかったのかも……

果林

ステージはスクールアイドルだけが作っているんじゃない。
みんなで作るものなんだわ

果林

なのに自分ひとりで会場を支配しているような気になって……
一体何様?

果林

エマじゃなくても呆れるわ……情けない……

果林

ごめん。いきなりこんな話されても困るわよね。
私これで……

彼方

待って待って。
果林ちゃん、一人になりたいのかもしれないけど、
今はダメだよ。彼方ちゃん、帰しません

彼方

あのね、落ち込んでるときはひとりになっちゃダメなの。
どんどん深みにはまるだけだよ。
それ全然解決にならないから

彼方

果林ちゃん、もうすこし付き合って!


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