花火大会は波乱の予感? Ep. 3
善子
聞け、我が眷族達よ!
今宵、沼津の空に炎の花が咲き乱れる。
夏の夜を彩る儚い輝きをヨハネと共に見届けるわよ!
果林
花火大会をそんなふうに表現するのは、善子ちゃんくらいね
花丸
はう~、焼きそば、たこ焼き、クレープ……
色んな食べ物のいい匂いずら~♪
彼方
かすみちゃんに頼まれたお土産、何にしよ~?
花陽
夜店巡りのために、昨日の夜からごはん我慢してたんだ。
いっぱい食べよう!
にこ
昨日の夜!?
出発の時から目が虚ろだったのはそのせいだったわけ……
花丸
今日のために、貯金してたお年玉、持ってきたずら。
ばあちゃんに頼んで小銭に崩してもらっ……
花丸
あ、ああ~~~~っ!?!?
お、お財布が空っぽずら~~!!
善子・花陽・にこ・彼方
ええっ!?
花丸
ななな、なんで……
家を出る時はちゃんとあったのに! どうしよう!
これじゃ……これじゃ夜店で何も買えないずら~~っ!
花陽
た、大変! どうしよう、探さなくちゃ……
その前に交番? お家の人に連絡? な、何からやれば……
善子
財布の中身だけが忽然と消えるなんて……
人知を超えた異形の仕業に違いないわ!
我々にも危機が迫っている……!
果林
みんな落ち着いて、大丈夫よ。
花丸ちゃん、巾着の中、よく確認してみて
花丸
う、うん……あれ?
あ……お金、あったずら……!
果林
お財布を出した時、口が開いた状態だったから、
ちょっと気になってたのよね
にこ
気付いてたんなら早く言いなさいよ!
果林
言おうとしたらみんなが騒ぎ始めたのよ
花丸
ご、ごめんなさい!!
こんなことで大騒ぎしちゃって……!
彼方
大丈夫だよ~。
落としたり置き忘れたりしたんじゃなくてよかったね~
善子
気を取り直して、行くわよ!
いざ花火――――
善子
うわあっ!?
花丸・花陽・にこ・彼方・果林
(花丸・花陽・彼方・果林)善子ちゃん!
(にこ)善子!
果林
……はあ、危なかったわね……大丈夫?
怪我は無い?
善子
だ、大丈夫……だけど……
花丸
あ……下駄の鼻緒が切れちゃってるずら……!
にこ
ちょっと貸してみなさい。えーと……ハンカチをこうして、
ここの穴に通して結んで……はい
花陽
わあ……すごい、直っちゃった!
にこちゃん、鼻緒の直し方なんて知ってたの?
にこ
まぁね。前にここあが同じようなことになって、その時覚えたの
善子
……ありがと……ごめん、ハンカチ……
にこ
なに情けない顔してんのよ。
直したって言っても、応急処置だからね。
暴れるとまた取れちゃうかもしれないから、気を付けなさい
善子
あ、暴れないわよ!
果林
一件落着、かしら。
この子達といると本当に賑やかね♪
彼方
ね~。こんなことってほんとにあるんだ
果林
こんなことって?
彼方
どこかに行こうとしたら下駄の鼻緒が切れる……
こういうことが起こる時って、何かあるって言うよね~
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