story:event:story-18:episode-1:ja

イルミネーションナイト Ep. 1

花丸

『あちこちの燭台に火が灯り、着飾った貴族達が
 花のように庭園を彩っている。ああ、眩しいわ。
 今は夜のはずなのに、まるで昼間のよう』

花丸

はあ……素敵……

花丸

夜を照らすろうそくの優しい光、
綺麗なドレス、そして美味しい料理……
ああ~、マルもこんな世界に行ってみたいずら~

善子

何ひとりでブツブツ言ってんのよ?

花丸

ひゃあっ! よ、善子ちゃん!
いつからそこに!?

善子

ヨ、ハ、ネ、だってば! 今来たところよ。
図書室に入ったら、カウンターの中であんたが下向いて
にやにやしてるんだもの。ちょっと怖かったわ

花丸

常日頃から堕天使を自称してる善子ちゃんに
言われるのは心外ずら

善子

自称ではないわ。ヨハネが堕天使なのは純然たる事実!
不変の真理! 黒いカラスが白くなろうと、
ヨハネが堕天使であることは変わらないわ!

花丸

はいはい、分かりました。
で、堕天使様は図書室になんの御用ずら?

善子

本を借りに来たに決まってるでしょー。
このメモに書いてある本、ある?

花丸

ちょっとは自分で探そうって思わないずら?

善子

だって、ずら丸に頼んだほうが確実なんだもん。お願いっ

花丸

しょうがないなぁ……分かったずら。
ちょっと待ってて

[Fade in/out.]

花丸

お待たせずら~。1冊だけあったよ。
まったく、相変わらず善子ちゃんはこういう本好きずらね

善子

ん~、ありがと

花丸

……あっ、それマルの本!
勝手に読んじゃだめずら~っ

善子

心配しなくても、しおりの位置は変えてないわよ。
あんたがにやにやしてたのって、これを読んでたからなのね?
仕事中のくせに~

花丸

本を読むのだって図書委員の仕事ずら!
それに、ずっと読むのが楽しみだった本なんだもん。
我慢なんてできないずら~っ!

善子

そんなに面白いの?
まだ最初のほうをちらっと読んだだけなんだけど

花丸

面白いよ。歌姫になるために田舎から王都にやってきた女の子が、
国を巻き込んだ陰謀に立ち向かうサスペンスファンタジーずら

善子

ずら丸、読む本の趣味変わった……?

花丸

特に、主人公の女の子がお城のお姫様と友達になって
夜会に招待されるシーンは、
それはもう臨場感たっぷりに描写されてて

花丸

まるで、自分も一緒にパーティに参加してるみたいな
気分になるんだ~♪

善子

なるほど、それでドレスだの料理だの言ってたわけね

花丸

いつかマルも、こういうパーティに招待されてみたいずら

善子

そんなに行きたいなら連れて行ってあげるわ!
この堕天使ヨハネを賛美する魔族の宴にね!

花丸

そんな怖そうな宴、行きたくないずら

花丸

ん? メッセージだ……
果林さんずら

善子

果林? なんて書いてあるの?

花丸

この前おすすめした本のお礼ずら。
それから……えっ!

善子

え?! な、何?

花丸

や、夜会の……パーティのお誘いずら~!


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story/event/story-18/episode-1/ja.txt · Last modified: 2022/09/15 10:23 by Aran (Bot)