温泉旅行ラプソディ Ep. 4
千歌
ここだよ、『娯楽室』!
しずく
あ、卓球台がありますよ!
やはり温泉と言えば卓球ですよね。定番です♪
千歌
スコアボードもあるんだよ。
本物の試合みたいでわくわくしちゃうよね♪
やろう、卓球!
にこ
いきなりやる気出したわね
花丸
千歌ちゃん、卓球すごく上手なんだよ
しずく
では、私がお相手させていただきます
千歌
ほんと!? ……あれ? でも、しずくちゃん、
確か球技苦手じゃなかったっけ……?
しずく
はい。千歌さんのおっしゃる通り、
ボールを使うスポーツについては、全般的に得意ではありません
しずく
しかし! もしこの先、
お芝居で温泉卓球をするシーンを演じることになった場合、
演技にリアリティを出すためには実体験の有無が重要になります
しずく
演技の、いえ、私自身の人生の糧とするため、
苦手だからという理由で逃げるわけにはいきません!
千歌さん、よろしくお願いします!
千歌
し、しずくちゃん……! なんて真剣な目……
ラケットを構えただけなのに、気圧される……!
とても球技が苦手だなんて思えない!
千歌
私も、遊びなんて気持ちでやっちゃだめだね……。
本気のしずくちゃんに応えるためには、
私も同じだけ本気にならなくちゃ
千歌
いくよ、しずくちゃん……! はっ!
しずく
たあ―――――――っっ!!
しずく・千歌
…………
千歌
す、すごい……!
なんて豪快な……空振り!!
しずく
……もう1球お願いします!
[Fade in/out.]
花丸
ずら~……
にこ
まったく、卓球やってんだか芝居やってんだか――――
にこ
って、花丸? 何してんの
花丸
にこさん。あの……これ、やり方分かるずら?
にこ
ん~? ……アーケードのレースゲームじゃない。
こんなのも置いてるのね。
花丸がこういうのに興味持つって、なんか意外
花丸
えへへ。これって、車の運転ができるゲームなんだよね。
前に見たことがあって、ずっと気になってたずら……
にこ
じゃあやればいいじゃない。
私が一緒にやりながら教えてあげるわ!
[Fade in/out.]
にこ
車を選んで、コースを選んで……これで良し!
いい? 右に行きたい時はハンドルを右、
左に行きたい時は左に回すのよ。分かった?
花丸
はい! ありがとうずら、にこさん
にこ
対戦モードにしといたからね。
負けたほうが勝ったほうの言うことをなんでも1つ聞くのよ
花丸
え、た、対戦!?
にこ
さぁ、始まるわよ!
3、2、1、ゴー!
花丸
あわわわわっ! ぶ、ぶつかる!
ハ、ハンドル、ハンドルを回す……えい!
にこ
おっ、やるじゃない♪
初めてにしてはなかなか――――
[Fade in/out.]
にこ
ひっ!?
にこ
……!? な、何? 今何か顔に――――
うぎゃっ! 今度は口に入った!
これ、か、髪の毛……?
花丸
ず~~~~ら~~~~!!
にこ
うわあああ!! 花丸!?
なんでそんなに揺れながらプレイしてんのよ~っ!
花丸
わ、分かんないずら!
車が曲がると、体も動いちゃうずら~!
目が回る……にこさん、助けてずら~!!
にこ
ちょっ、あああ危ない危ない!
ストップ! ストーップ!!
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