story:event:itex-35:episode-1:ja

彼方の和菓子と照る山紅葉 Ep. 1

彼方

はい、召し上がれ。彼方ちゃんお手製の和菓子でーす

しずく

わあ、素敵!

ミア

Amazing! きれいな色使いだね。
赤から白へ、淡くグラデーションがかかってる

しずく

それにすごく繊細。
これを手で包むなんて、私にはとてもできそうにありません

彼方

ふっふーん。彼方ちゃんは意外と器用なのだ

彼方

見た目だけじゃなくて、味もいいんだよ。
さあ、ふたりとも食べて、食べて

しずく

そうですね。それでは遠慮なく

しずく・ミア

いただきまーす

しずく・ミア

はむっ!

ミア

うん、とっても甘い。
このお菓子、中の黒いペーストが主役なんだね

彼方

さすがミアちゃん、わかってるう

しずく

ですが周りを包む求肥(ぎゅうひ)も負けていません

しずく

主役を引き立たせるための名脇役といったところでしょうか。
お互いがお互いの、いいところを引き出しています

彼方

その通り! ここで新たな役者の登場だよ。
お抹茶をどうぞ。お茶の渋みが、和菓子と合うんだ~

しずく

はあ……いいですねえ。口の中がさっぱりします

ミア

甘味と渋味。おもしろいマッチングだね

彼方

でしょ~? 
……さて、食べてもらったところで、ここからが本題

彼方

どうすればこの和菓子、もっと「秋」っぽくなるかなあ?

しずく

「和菓子で秋を表現する」。
それがライフデザイン学科の授業で出された課題なんですよね

彼方

そうなの。
いろいろ試してみたんだけど、もうひとひねりしたくて。
ふたりの意見を聞かせて欲しいんだよ

ミア

難しく考えすぎじゃない? もう十分できてると思うけど

彼方

ううん。まだまだこんなものじゃ満足できない。
食べた人に、もっともーっと「秋」を感じてほしい。
彼方ちゃんはわがままなのだ

彼方

色を変えたり、包み方を変えたり、芋餡にしたり、
色々試してみたんだけど……んー、何か足りないんだよねえ

しずく

何かが足りない……
その何かを探しているというわけですね

彼方

ちょっとしたことでも構わないんだ。
気づいたことがあったら教えてほしいんだよ~

ミア

Hmm.なかなか難しいね

しずく

そうだ。こういうのはどうでしょう?

ミア

しずく、何か思いついたの?

彼方

なになに? きかせて!

しずく

「秋」とは、私たちの内にあるわけではない。
外にこそあるのです

しずく

というわけで、みんなで「秋」を探しにいきませんか?


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story/event/itex-35/episode-1/ja.txt · Last modified: 2022/11/07 06:04 by Aran (Bot)