せ、せつ菜ちゃん……
どうしたの、そんなところにしゃがみこんで……

私、かすみさんに嫌われてしまいました。
あれからずっと避けられているんです……

それはそうですよね、
私がどれだけかわいいと思っても、
かすみさん自身は失敗だと思っているんです……

そのことを楽しそうに話すなんて、私……私……！

そのことなんだけど……

かすみちゃん、怒ってないと思うよ？

え？

かすみちゃん、魔法少女研究部のお手伝いのために
いろんな種類の「かわいい」を研究してるって言っててね

この間せつ菜ちゃんが言ってたことも、
自分の「かわいい」の一部なんだ、って気づいたんだって

それで、今はそれを元に
魔法少女の呪文詠唱の特訓の真っ最中で……。
だからここで顔を合わせてないだけだと思うよ？

そ、そうだったんですね～～！
よかった……よかったです～！

……ねえ、せつ菜ちゃん

はい、なんでしょう？

私、今わかっちゃったかも……
「萌える」って気持ちのこと……

え？

あのね、さっきの落ち込んでるせつ菜ちゃん、
いつもとは違って心細そうで、
ぎゅっと抱きしめてあげたいと思ったんだ

えええ！？
わ、私がですか！？

せつ菜ちゃんがかすみちゃんに感じたのも、
こういう気持ち？

そ、そうです！　そういう気持ちです！
あと、その姿をもっともっと見ていたい、
というのではなくて……

これ以上見てたらどうにかなりそう、しんどい！
ってことだよね

その通りです！
すごい、完璧ですよ！

「萌え」って、せつ菜ちゃんが前言ってたように、
言葉で説明するのは難しいね。
感覚的っていうか……

あえて言葉にするなら、ギャップ……
いつもは見えない「素」が見えちゃった瞬間のトキメキなのかな

「素」ですか……。そうかもしれませんね。
映画に出てくる妹ちゃんも、いろんな騒動を起こして
お姉ちゃんを困らせるのですが

強がりつつも「お姉ちゃんが大好き」っていう気持ちが
見え隠れしているんですよね……

うん、そういう気持ちのこと、なんとなく掴めた気がする。
せつ菜ちゃん、私、メロディが浮かんできた！