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Setsuna Ep. 19: 熱い気持ち

ファンからの手紙には「自分の大好きをみんなに広めたい」というそれぞれの思いが込められていた。そんなファンの「大好き」の思いを受け止めて、せつ菜はみんなに「みんなの大好き」を発信したいというが……。

栞子

……なるほど。理解できました。そういうイメージを持てば
いいのですね。このステップをクリアできそうな気が
してきました。ありがとうございます、せつ菜さん

せつ菜

いえ!
またなにかあったら、いつでも聞いてくださいね

栞子

はい、そうさせてもらいます

栞子

ところで、つかぬことを伺いますが……。
せつ菜さん、今日はお疲れですか?

せつ菜

え!?

あなた

……私も気になってたんだ。
せつ菜ちゃん、今日はちょっと元気がないよね?
どうかした? この間のライブの疲れが取れてない?

せつ菜

あ、いえ!
疲れはもう、完全に取れています! とても元気です!

あなた

じゃあ、元気がなさそうなのは、別のことが原因?

せつ菜

そんなに顔に出ていたでしょうか……。
元気をなくすというほどのことではないのですが……。
……お二人から見て、前回のライブはどうでしたか?

あなた

ごめん。あの時、私は裏方だったから……

せつ菜

あ、そうでしたね! すみません

あなた

ううん。私こそ、ちゃんと見られなくてごめん。
でも、客席を覗いたとき、みんなすごく盛り上がってるのを見たよ

あなた

それにSNSでも、よかったって書き込みが
たくさんあったから、大成功だったと思うんだけど……

せつ菜

そう……ですよね?
みんなの大好きを、私、届けることができましたよね……?
できた、とは思っているんです。思ってはいるのですが……

あなた

何か気になることがある?

せつ菜

はい……。
期待に応えることはできたと思うのに、なんというか……

Option 1: “物足りなさがあったとか?”

あなた

……物足りなさがあった、とか?

せつ菜

物足りなさ……ですか。
そうかもしれません

Option 2: “いつもと違った?”

あなた

いつもと違った?

せつ菜

はい……。うまく言えないのですが、
いつものように、胸を熱くすることができなかった気がします……

せつ菜

もっと気持ちを盛り上げていかなければならないのに、
どうしても、うまくいかなくて……

せつ菜

こんなはずではなかったのに……
あれからずっと気が晴れないんです

栞子

元気がなかったのは、先日のライブが原因でしたか……

栞子

せつ菜さん、ご自身でわかっていなかったのですね。
それは当然のことだと思います。だってあれは
いつものせつ菜さんのやり方ではありませんでしたから

せつ菜

え……?
いつもの私のやり方ではなかったというのは、
どういうことですか? 私はいつも通り……

栞子

いつも通りではありませんでしたよね。誰かの「大好き」を代弁
しようとしていました。誰かの気持ちに寄り添ったからといって、
それを本当の意味で共有することは難しいのではないでしょうか?

せつ菜

そ、そんなことありません! 私がもっと、
みんなの「大好き」をしっかりと受け止めて理解をすれば、
「大好き」だって気持ちは伝わります!

栞子

「しっかりと受け止めて理解する」……ですか。
その考え方は、独善的だと思いませんか……?

せつ菜

え……?

栞子

……いえ、今のはあくまで私個人の考えです。
押し付けるつもりはありません。だって、せつ菜さんの考え方も、
実現できるのなら、素晴らしいことだと思いますから

栞子

……ただ、私はいつものせつ菜さんのライブが大好きで……って、
これでは押し付けになってしまいますね。忘れてください。
では……私は生徒会の仕事があるので、失礼します

せつ菜

……私は、みんなの「大好き」を広めたいだけなのに……

せつ菜

栞子さんの意見のほうが、正しいのでしょうか……
私の考えは、独善的ですか?

せつ菜

私はみんなの「大好き」を知って、広めることができたら、
きっと素敵な世界になるって、そう思って……

あなた

私も素敵な世界だと思う。
そう思ったから、新曲の方向性にも賛成したんだし

せつ菜

栞子さんは、いつもの私のやり方ではなかったと言っていました。
いつもの私って……何でしょう?
あなたから見たいつもの私というのは、どうですか?

あなた

え? いつものせつ菜ちゃん……? そうだな……。
やっぱり「大好き」を全身で表現してる、って感じかな。
せつ菜ちゃんの「大好き」なことを……あっ!

せつ菜

どうしました?

あなた

……あのね、せつ菜ちゃん。
今回の曲、せつ菜ちゃん自身の気持ちを、心から乗せられた?

せつ菜

え?

あなた

上手く歌えなかったのは、
せつ菜ちゃんが心から「大好き」って言えることを
歌ってなかったからじゃないかな、って思って……

せつ菜

それは……その、私の頑張りが足りなかった部分ですから……。
次はもっと頑張ります!
みんなの気持ちを、もっともっと理解します!

あなた

せつ菜ちゃん、みんなの手紙を隅々まで読み込んでたよね。
オススメされた小説やアニメを見て、
みんなこういうのが好きなんだ、って目を輝かせてた……

あなた

でも……
せつ菜ちゃん自身が、心を奪われたものはあった?

せつ菜

……どの作品もとても素敵で、
みんなが夢中になるのはわかりました。
ただ、私自身が心を奪われていたかと言われると……

あなた

誰かの気持ちを受け止めることはできても、
その人と全く同じ気持ちになるとは、限らないんだよね……

せつ菜

栞子さんが言っていたのは、そういうことだったのですね……。
確かに、私はみんなと完全に同じ気持ちにはなれませんでした……。
そして、そのまま歌ってしまった……

せつ菜

私が感じた違和感は、そこが原因だったのですね……

あなた

そうだね……

せつ菜

……

せつ菜

私の歌は、ほかの誰かの「大好き」ではなく、
私自身の「大好き」を目一杯込めたものじゃないとダメなんだ、
ということを、栞子さんに気付かされました

せつ菜

なんだか、目が覚めた気がします。
私が熱くなるためには、絶対に欠かせないものがあるんです!

せつ菜

それは、私自身が「大好き」なこと。
だから、次は私の「大好き」なことを歌います!

せつ菜

誰かの「大好き」なことも、わかりたいです。
でも、私の歌にとって一番大切なのは、
自分の「大好き」を熱く伝えることなんですよね!

あなた

うん。せつ菜ちゃんがそれを続けたら、きっとみんなも
せつ菜ちゃんと同じように、自分の「大好き」なことを
誰よりも熱く語っちゃう、そんな世界になると思う!

あなた

私は、せつ菜ちゃんが自分の大好きなことを、
周りが見えなくなっちゃうくらいに
熱く語ってる姿が、すっごく好きだよ!


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