お休みの日に押しかけてごめんなさいね、
栞子ちゃん

いえ、気になさらないでください。
来てくださいとお願いしたのは私です

所作を学びたいということなので、
畳のお部屋がいいと思いまして

ありがとう

だけど、どうしてキミまでいるの？

あはは……。
だって果林さんの修行には付き合いたいから

今度のコンテストはスクールアイドルとは関係ないのよ。
わざわざ付き合わなくてもいいのに

それは前も言ったでしょ？
私はどんな果林さんでも大ファンだよ、って。
だから付き合いたいの！

もう……

あはは……呆れちゃった？

照れているんですよ、きっと

なっ……！？
ち、違うわ！　呆れてるの！

うふふ、お顔が赤いですよ、果林さん

栞子ちゃんも、先輩をからかわないの！

[Fade in/out.]

ちょ、ちょっと待って、栞子ちゃん！

わかりました。
５分休憩しましょう

５分！？
わ、わかったわ……

休憩中、少しアドバイスをさせていただいて
いいでしょうか

果林さん、姿勢はお見事です。
足捌きもすぐにコツをつかんで、さすがモデルさんです

ですが、指先まで演技をしてください。
そこが疎かになると
せっかくの他のすばらしいところも霞んでしまいます

指先の演技と言われてもピンとこないと思いますが、
これにはコツがあります。
親指と薬指の神経を……

待って、メモするから

[Fade in/out.]

お疲れ様でした、果林さん。
物凄い吸収力で、私の教えることがなくなってしまいました！

果林さん、すごくきれいだったよ！

はあ、はあ……。
ありがとう、ふたりとも

充実感のある疲れよ。
とっても心地いいわ！