地図によると、この辺りっぽいよね……

あ、ねえ歩夢ちゃん、あそこ見て。
あの木の横にある茂み、覚えてる？

……あ！
私たちがいつも隠れてたとこ！？

そうそう。
もう帰るよ、って言われそうな時間になると
毎回あそこに逃げ込んでたよね

夏は日陰になって涼しくて、
冬は風を遮ってくれてあったかかったんだよね

たぶん、あそこだよ！

[Fade in/out.]

見つけたーーー！！
ほら見て、これ！
このクッキー缶見覚えある！

中身はなんだろうね？
開けてみようよ

うん！

……んん？
なんだろう、これ……？

……思い出した。
これ、約束の指輪だよ

約束の指輪？

そう。なんだったか忘れたけど、
お母さんたちが見てたテレビで指輪の交換をするシーンがすてきで
そこだけ覚えてたんだよね

それで歩夢ちゃんにその話をして……。
指輪が売ってるところなんて知らないから、
シロツメクサでふたりで作ったでしょ？　覚えてない？

……そんなことも、
あったような……？

あったよ！
まあ、私が勝手に盛り上がってやろうやろう、って誘ったから
覚えてないのかも

あの頃はさ、小学校に入ったらクラス分けがあって、
別々のクラスになっちゃうかも、そしたら
歩夢ちゃんは私のこと忘れちゃうかも、って心配だったんだよ

だから、ずっと一緒の約束のつもりで指輪を作って、
大人になったらあのテレビみたいに交換したい
と思ったんだよね……

そ、そう、だったんだ……。
あなたがそんなふうに思ってくれてたなんて……

あはは！
馬鹿みたいだよね。
クラスが違ったって一生の別れじゃないのにさ

それにね、今は思うんだ。
これから先、なにがあっても絶対、
歩夢ちゃんとはずっと一緒にいられる、って

[Fade in/out.]

宝探し、してよかった

うん！

あれ？
何してるの、ハンカチなんて出して？

え？
あの、この指輪、改めてしまっておこうと思って……

ええ！？
カラッカラだから崩れちゃうよ！
そもそも指輪の形なんてもうしてないし

うん。
それでも、持っていたいんだ

あなたとの……大事な約束だから！